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プログラム・ノート
   
プログラム 2002年10月5日(土)
 
第3回 音楽スタイルって? 〜ドイツ、オーストリア〜
シューベルト:劇音楽『ロザムンデ』から間奏曲 第3番
ベートーヴェン:交響曲第6番「田園」から第1楽章
メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 から第1楽章
ヴァイオリン独奏:武藤順子(中学3年生)
J.S.バッハ:トッカータとフーガ ニ短調 BWV565 から
オルガン独奏:新山恵理
モーツァルト:交響曲 第41番「ジュピター」から第4楽章
ワーグナー:楽劇『ニュルンベルクのマイスタージンガー』から第1幕への前奏曲
 
 プログラムノート 有田 栄(音楽学)
   シューベルト:劇音楽『ロザムンデ』から間奏曲 第3番
 
フランツ・シューベルト(1797−1828)は、ベートーヴェンと同じころ、オーストリアのウィーンで活躍していた作曲家です。シューベルトは、子供の時とても美しい声をしていて、ウィーン宮廷の聖歌隊(現在のウィーン少年合唱団)のメンバーとして歌っていたほどでした。彼は、その短い一生の間に、約1000曲の作品を書きました。とくに、有名な『アヴェ・マリア』や『野ばら』をはじめ、歌曲集『冬の旅』『美しい水車屋の娘』『白鳥の歌』など数々の歌(歌曲)を作曲したことで知られています。
シューベルトが26才の時に書いた『ロザムンデ』は、合唱やバレエなども入った劇の伴奏音楽です。地中海に浮かぶ島キプロスの王女ロザムンデは、幼い時に父を失い、遺言で貧しい船乗りの家に預けられました。物語は、成長したロザムンデが、自分の命をねらう者たちをほろぼして、みごと王女の身分を取りもどし、王子アルフォンスと結ばれるまでを描いています。お聴きいただくのは、第3幕と第4幕の間に演奏される間奏曲。シューベルトはこのメロディーを気に入っていて、ほかのいろいろな作品にも同じメロディーを使っています。
 
   
   ベートーヴェン:交響曲第6番「田園」から第1楽章
 
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770−1827)は、ドイツで生まれ、ウィーンで活躍した作曲家です。彼が、一生こだわりつづけたのが「ソナタ」という種類の音楽でした。「ソナタ」とは、.いくつかの部分(楽章)からできていて、歌が付かず楽器だけで演奏する音楽のことです。ピアノのためのソナタは「ピアノ・ソナタ」、オーケストラためのソナタが「交響曲」です。ソナタや交響曲の第1楽章は、必ずある決まった形(形式)を持っていて、それを「ソナタ形式」といいます。
ソナタ形式の曲では、最初に出てくるメロディーが一番重要です。これは、「主題(テーマ)」と呼ばれ、このメロディーをもとにして、曲全部ができています。交響曲第6番では、曲が進むにつれてこの「主題」のメロディーが、いろいろなところから歌いかけてくるのが聞えるのではないでしょうか。
ベートーヴェンは、自然の中を散歩するのがとても好きだったと言われています。この曲も、自然の風景を題材にしています。彼には、はだにふれるさわやかな風や、あたたかい光、そして風にゆれる木々や草花などが、自分に語りかけているように感じられたのかもしれません。
 
   
   メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 から第1楽章
 
フェーリクス・メンデルスゾーン-バルトルディ(1809−47)は、19世紀前半に活躍したドイツの作曲家です。メンデルスゾーンも、とても才能豊かな子供でした。作曲を始めたのは8才。9才の時にはもうピアニストとしてコンサートの舞台に立っていました。
この『ヴァイオリン協奏曲』は、メンデルスゾーンが35才の時に作曲した作品です。「協奏曲」というのは、ソリストとオーケストラが、対話をするように進んでいく曲のこと。前回のヴィヴァルディの協奏曲とくらべて、この曲は、ソリストがメロディー、オーケストラが伴奏、という役割がはっきり分かれています。これが、メンデルスゾーンの時代の協奏曲の特徴です。とちゅうに、ソロ・ヴァイオリンが一人で大活躍する部分がありますが、これは「カデンツァ」と言って、ソリストの腕の「見せ場」。曲の一番の「聴きどころ」でもあります。
   ヴァイオリン 武藤順子
 
1988年生まれ。鷲見四郎に師事。98年全日本学生音楽コンクールヴァイオリン部門小学校の部第1位。国内外の有名オーケストラと共演。2001年仙台国際音楽コンクール奨励賞受賞。今年NHK・BS「クラシック倶楽部ジャパンシリーズ」出演。
 
   
   J.S.バッハ:トッカータとフーガ ニ短調 BWV565 から
 
ヨハン・セバスティアン・バッハ(1685−1750)は、有名なオルガニストでもありました。この曲は、バッハがまだとても若いころに書いた作品で、そのころ彼はアルンシュタットという町の教会オルガニストをつとめていました。これは、とても大切で名誉のある仕事です。日曜日の礼拝の時に賛美歌の伴奏をするだけでなく、その場で音楽を作って弾く即興演奏もしなくてはなりませんでした。そしてバッハはその名人だったのです。 「トッカータ」は、鍵盤に「ふれる」という意味から生まれた言葉で、演奏者が腕前を見せるための、はなやかな音楽です。後半は、「主題」が次々と右手、左手、足のパートに登場する、複雑な「フーガ」の音楽です。
   オルガン 新山恵理
 
東京芸術大学オルガン科及び同大学院修了。第3回日本オルガンコンクール第2位入賞。絹村光代、秋元道雄、廣野嗣雄に師事。フランス・リール国立音楽院で一等賞を得て首席で卒業。以後各地の歴史的オルガンでのコンサートに出演。
 
   
   モーツァルト:交響曲第41番「ジュピター」から第4楽章
 
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756−91)は、18世紀の後半に活躍したオーストリアの作曲家。彼の故郷は、ザルツブルクという町です。5才から作曲を始めたモーツァルトは、父親につれられて、ヨーロッパのあちらこちらへ年じゅう演奏旅行に出かけていました。ドイツ、ベルギー、フランス、イギリス、イタリア…その旅の間にも、たくさんの曲を次から次へと書き続けました。モーツァルトが、35才で亡くなるまでの間に作曲したのは、オペラや交響曲、協奏曲、そしてピアノやヴァイオリンのための色々な作品など、ほんとうにもう数え切れないくらいです。
オーケストラのための「交響曲」は40曲以上も書きましたが、なかでもこの第41番はとても有名です。この曲は、とても堂々とした性格の曲なので、ギリシャ・ローマ神話に出てくる神の名前をとって、「ジュピター」と呼ばれています。この第4楽章の始めの「ド−レ−ファ−ミ」というメロディーは、モーツァルトがとても好きだったメロディーで、「ジュピターのメロディー」と言われています。
 
   
   ワーグナー:楽劇『ニュルンベルクのマイスタージンガー』から前奏曲
 
リヒャルト・ワーグナー(1813−83)は、19世紀ドイツでオペラの作曲家として活躍しました。彼は、ある大きな理想を持っていました。それは、観客もオペラの世界にいっしょに入りこんで、オペラの一部になってしまうような、そんな劇場を作ることでした。それが、今でもドイツのバイロイトという町にある「ワーグナー劇場」です。ここでワーグナーは、上演するのに全部で4日間もかかるような作品を書いたりもしました。
聴いていただくのは、中世(今から500−1500年くらい前の時代)を舞台にしたオペラの曲です。ドイツには、昔から職人の組合があり、そのリーダーが「マイスター(親方)」でした。マイスターになるには、ただ技術があるだけではだめで、数学や天文学、文学や音楽にも深い教養があり、そのうえ人に信頼される人物でなければなりません。とくに芸術の町ニュルンベルクでは、すぐれた歌を歌うことのできる「マイスタージンガー(ジンガーは「歌手」の意味)」は、皆の尊敬の的でした。このオペラは、愛する人のために「マイスタージンガー」になろうと挑戦する若者の物語。芸術を愛する誇り高い職人たちの見守る中で、神聖な歌の試験が始まります…。
   
 
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